カバー26卒エンジニアが日本CTO協会の「新卒エンジニア合同研修」に参加しました!

こんにちは。

カバー株式会社26卒エンジニアのIとNです。

本記事では、私たちが参加した日本CTO協会の「新卒エンジニア合同研修」での学びをご紹介します。

「新卒エンジニア合同研修」とは?

私たちが参加した「新卒エンジニア合同研修」は、一般社団法人日本CTO協会が主催する、企業の垣根を越えたエンジニア育成プログラムです。

エンジニアの採用・育成があらゆる企業にとって重要な経営課題となる中、企業の枠を越えて共に学ぶことで日本の技術力全体の向上に貢献することを目指し、2024年から開催されています。

昨年に続いてカバーの新卒エンジニアも参加いたしました。昨年の参加レポートはこちらの記事でご紹介しています。

▼参考記事

研修内容

本研修では、クラウドやエージェント、ハードウェア、キャリア形成など多岐にわたるテーマで実践的な講義や演習が行われました。2026年度に実施された主な研修内容は以下の通りです。

クラウド領域

  • アマゾンウェブサービスジャパン合同会社様による「AWS JumpStart 2026」
  • グーグル・クラウド・ジャパン合同会社による「Google Cloud で実現する次世代のクラウドネイティブ・アーキテクチャ」
  • Alibaba Cloud Japan様による「AlibabaCloud ではじめるマルチクラウドのすすめ〜世界最大の電子商取引サイトを支える AI+クラウド技術〜」

ソフトスキル・キャリア

  • 株式会社メンバーズ様による「関係性の質を上げるファシリテーションを学ぶ」
  • 株式会社LayerX様による「エンジニアの働き方・キャリアとその変化」

AI

  • OpenAI Japan 合同会社様による「OpenAIプラットフォーム概要と Codex ハンズオン」

ハードウェア

  • GMOインターネットグループ株式会社様による「サーバー解体研修」

パフォーマンスチューニング

  • 株式会社PR TIMES様による「CTOA新卒合同ISUCON研修 + 解説」

各分野の第一線で活躍する企業から直接指導を受けることで、最新技術の知識を深めるとともに、エンジニアとしての視野を広げる大変貴重な機会となりました。

本記事では、Iが「OpenAI プラットフォーム概要と Codex ハンズオン」、Nが「CTOA新卒合同ISUCON研修 + 解説」について、それぞれの学びをご紹介します。

OpenAI プラットフォーム概要と Codex ハンズオン(レポート:I)

こんあずき~

コマース本部 コマース統括 横断開発チームのiです。

普段の業務では公式アプリ「ホロプラス」のバックエンド開発を担当しています。(ホロプラスのインストールはこちら)

私からは「OpenAI プラットフォーム概要と Codex ハンズオン」での学びをご紹介します。

本研修は、OpenAI Japan合同会社の方を講師にお迎えし、前半はエージェンティックコーディングと Codex に関する講義、後半は少人数のブレイクアウトルームに分かれてのハンズオンという構成でした。

講師の方が冒頭で強調されていたのは、「どのツールを使っても通用するエージェンティックコーディングの普遍的な考え方を持ち帰ってほしい」ということでした。この言葉どおり、特定製品の操作説明にとどまらない、これからのソフトウェア開発の進め方そのものを学ぶ回となりました。

コード補完から「タスクの並列委譲」へ

講義はまず、AIコーディング支援の進化の整理から始まりました。

1. コード補完の時代:エディタ上での補完を活用し、書いたコードを自分で調整する前提のスタイル

2. ペアプログラミングの時代:エディタのサイドチャットなどでAIと対話しながら、1つの画面・1つの作業の中にAIが入ってくるスタイル

3. エージェント型開発の時代:タスクそのものをエージェントに委譲し、複数のタスクを並列で走らせながら、自分は別のタスクの検討や指示出しを行うスタイル

現在は3つ目のフェーズに入っており、「AIにコードを書かせる」こと自体はもはや前提で、「複数タスクをどう並列にさばくかで生産性が大きく変わる」というお話が印象的でした。

また最近では、コードを書かせるだけでなく、DevOpsにおける運用(Ops)側の作業にAIを適用して精度・生産性を上げる事例が増えているとのことでした。

エージェントの基本ループとコンテキスト管理

エージェントの動作は、「目標を受け取る → 考える → ツールを実行する → 結果を確認する → 必要なら追加作業する」というループを目的達成まで繰り返すものです。

ここで重要になるのがコンテキスト(モデルが受け取る情報)の管理です。コンテキストには上限があるため効率的に扱う必要があります。

Skills・Hooks・MCP・Plugins・Subagent

エージェントを拡張する仕組みも一通り整理されました。

  • Skills:特定の目的に対する知識や作業フローをモデルに与える仕組み。単なるスクリプト実行との違いは「途中の判断をモデルにさせられる」こと。「どの条件のときに必ず実行するか」をdescriptionに明記することで、実行漏れや不要な実行を防げる。
  • Hooks:固定コマンドの確実な自動実行に向く。スクリプト実行漏れの防止など。
  • MCP:外部システム連携の標準プロトコル。
  • Plugins:複数のSkillsをパッケージングして配布する単位。チームや組織で同じ運用を広げ、バージョンアップに追従してもらうのに有効。
  • Subagent:調査などの独立したサブタスクを別のエージェントに委譲し、必要に応じて並列実行する仕組み。現在のCodexでは、ユーザーから直接依頼された場合に加え、適用されるプロジェクトやSkillの指示に基づいて起動することがあります。

また、ドキュメントと実装の乖離を定期的に検証するスキル、モデルごとのレスポンスタイムやエッジケースをテストマトリックス化して検証するスキルなど、講師の方が実際の SDK 開発で使っている公開事例も紹介され、スキル設計の知見を得ることができました。

OpenAI Agents SDK の紹介

講義の最後には、OpenAIのモデルを使ったアプリケーションを作るための Agents SDK が紹介されました。主なユースケースは3つです。

1. チャットエージェント:複数エージェントをツールとして呼び出すパターンと、ユーザーとのやり取り自体を別エージェントに引き継ぐ「ハンドオフ」パターンに対応。カスタマーサポートのトリアージなどが典型例

2. 音声エージェント:WebRTC でスピーチ・トゥ・スピーチのリアルタイムモデルと接続。MCPサーバー連携やツール実行もテキストエージェントと同様の書き方で扱える

3. サンドボックスエージェント:シェルコマンドやファイルアクセスを伴うエージェントを、Dockerコンテナや各種サンドボックスプロバイダー上の安全な環境で実行する仕組み。バックエンドで非同期に作業させて完了を通知する、といった組み込みに向く

ハンズオン:Codex を利用して実際に作る

講義の後は、4名程度のブレイクアウトルームに分かれて約1時間のハンズオンです。他社の新卒エンジニアの方々と自己紹介を交わし、普段使っているエディタやAIツール事情を共有しながら、それぞれ作りたいものに取り組みました。

私は、複数の配信を1画面で切り替えながら視聴できる、テレビ局のスイッチャーのようなWebアプリを作ってみました。

弊社では複数のタレントさんが同時に1つのゲームをプレイする企画があり、視聴者としてすべての視点を追いかけようとするとウィンドウをいくつも開くことになりがちです。それを1画面に集約し、見たい配信をワンタッチで切り替えられたら便利では、という発想です。

最初にAIエージェントへアプリの要件を伝えたところ、素の HTML / CSS / JavaScript で書き始めたため、「Next.js で書いてください」とだけ方向修正し書かせました。1時間弱で、リアルタイムの配信を取得して表示し、キー操作で瞬時に切り替えられるところまで動く状態に。ほぼワンショットでここまで出てくる精度には驚きました。

参加されている他社のエンジニアの皆様も、遊び心のあるビンゴジェネレーターや、日々の振り返りログをもとにPDCAのレビューを回してくれるアプリなど、短時間ながら個性豊かな作品を作っていました。作業の合間には各社のAIツール事情についての情報交換も盛り上がりました。

学び:タスクを委譲する

講義とハンズオンを通しての学びは「AIにコードを書かせる」の一歩先にある、タスクの設計と委譲の考え方です。完了条件やルールを明文化し、タスクを並列で走らせ、エンジニアはレビューに集中する、という働き方は普段の業務にもすぐ試せるもので引き続き意識していきたいと思います。

日本CTO協会ISUCON新卒研修(レポート:N)

Kira Kira~ Koseki!

CTO室 アプリ開発チームのNです。

普段の業務では、タレントさんに向けた新規アプリの開発を担当しています。

私からはISUCON研修についてご紹介します。今回は生成AIの利用が活発になったことにより、従来とは少し異なる進め方の研修となりました。

ISUCONとは

ISUCONは、与えられたWebサービスに対してパフォーマンスチューニングを行い、ベンチマークスコアを競うコンテストです。

今回の研修はチーム戦ではなく、全員が個人で取り組む形式でした。参加者ごとにサーバーが用意され、動作しているWebサービスのボトルネックを特定し、アプリケーションやDBなどのレスポンスを改善していきます。

ボトルネックを特定する

アプローチとしては、最初にアクセスログやスロークエリログを見て、どのエンドポイントに時間がかかっているのか、同じクエリが何度も実行されていないかを確認しました。そこからインデックスを追加したり、N+1問題を解消したりと、まずはDB周辺を改善していきました。

このあたりは、前年度の研修記事で紹介されている内容とおおむね同じです。

ほかには、画像の取得に時間がかかっていることが分かったため、画像配信についても改善しました。アプリケーションを経由していた画像を静的ファイルとしてキャッシュし、Nginxから直接配信するように変更することで、アプリケーションへのリクエストを減らし、レスポンスを高速化しました。

AIによって変わるボトルネック分析

今回特に印象に残ったのは、AIを利用することで、こういったボトルネックの分析から修正までのサイクルをかなり短時間で回せたことです。

通常、ログを分析する際には、ログを構造化したり、集計用のスクリプトを書いたり、解析ツールに読み込ませたりと、調査を始めるまでにも一定の準備が必要です。

一方、AIを利用すると、完全には構造化されていない長いログファイルでも、そのまま読み取らせて分析できます。レスポンスタイムの長い処理や、異常に呼び出し回数の多いクエリなど、ボトルネックの候補を短時間で抽出できました。

基本的なチューニングの先へ

研修の解説で扱われたのは、自分が行ったようなインデックスの追加、N+1問題の解消といった、基本的なチューニングまででした。

しかし、今回はAIを利用できたことで、多くの参加者が早い段階でこれらの改善を終え、その後はそれぞれ独自のアプローチでスコアを伸ばしていました。

運営側も想定していなかったほど早いペースでスコアが伸びていたようで、研修終了時点では、これまでのISUCON研修と比較しても、参加者全体のスコアがかなり高かったとのことです。

私も基本的な改善を終えた後、さらにスコアを伸ばすために、アプリケーションサーバーの見直しに取り組みました。今回の研修では、複数の言語で実装された同じアプリケーションからチューニング対象を選ぶことができ、私はRuby版を選択していました。Ruby版では、アプリケーションへのリクエストを受け付けて実行するアプリケーションサーバーとして、Unicornが使われていました。当初はUnicornのワーカープロセスが1つで、リクエストを一つずつ処理する構成になっていました。これについて、DBアクセスなどの待ち時間中に別のリクエストを処理できるよう、アプリケーションサーバーをPumaへ変更し、マルチスレッドで動作するように改善しました。その結果、ベンチマークスコアも向上しました。

なお、マルチスレッド化にあたっては、アプリケーションや利用しているライブラリがスレッドセーフであるかを確認する必要があります。今回は限られた競技時間の中で、ベンチマークが正常に完走することを確認しながら進めました。

AIを前提としたISUCONはどうなるのか

同じく解説の中では、これまでAIの利用を前提とした形式でISUCONを実施したことがなく、今後同様の条件で開催した場合に、競技がどのように変化していくのかという話題もありました。

AIを活用すると、ログ解析などの作業を高速化できます。その結果、従来の問題構成や競技時間ではスコアに差がつきにくくなる可能性もあります。

そのため、競技性を維持する方法として、AIの利用を禁止し、従来に近い条件で実施することも一つの選択肢だと私は思うのですが、個人的には、AIの利用を前提とし、アプリケーションのパフォーマンスだけでなく、AIへの指示やコンテキストの与え方まで含めて工夫する形式のISUCONがあっても楽しそうだと感じました。

AI時代のオブザーバビリティ

最後に、今回の研修を通して、AIネイティブの時代においてアプリケーションのオブザーバビリティを確保しておくことの重要性を学ぶことができました。

AIは大量のログを短時間で処理できますが、必要な情報がそもそも計測されていなければ、正確なボトルネック分析はできません。ログやメトリクスが適切に取得されていることで、より精度の高い分析を行えます。

実際に、クラウドやオブザーバビリティのサービスでも、収集したテレメトリをAIで分析し、異常検知や原因調査の初動を支援するサービスが提供されるようになっています。

今後は、人が大量のログを一行ずつ追ってボトルネックを探す作業は減っていく一方で、AIが分析しやすい形でデータを計測し、それぞれを関連付けておくことがより重要になると思います。今回のISUCONでは、限られたログファイルをAIに読み込ませるだけでも十分に効果がありました。実際の運用でも、アプリケーションを横断してAIがデータを分析できる状態を整えておくことが、より必要になりそうです。

全ての研修を終えて

「OpenAI プラットフォーム概要と Codex ハンズオン」パートを担当したIです。

日進月歩で進化するエンジニアリングにおけるAI活用ですが、講義では特定のツールに限らないエージェンティックコーディングの考え方について学ぶことができました。

各研修では他社のエンジニアの皆様と交流する機会もあり、研修の内容を振り返ったりエンジニアならではの悩みを相談したりすることで新卒エンジニア同士の人脈も広がりました。

「日本CTO協会ISUCON新卒研修」パートを担当したNです。

各研修を通して、普段の業務では触れる機会の少ない分野も含め、知識を幅広く学ぶことができました。また、他社の新卒エンジニアの皆様との交流を通じて、日々の業務への向き合い方やエンジニアとしての考え方、さらには社会人としての姿勢についても、さまざまな視点を得ることができました。

謝辞

最後に、このような学びと出会いの場を提供してくださった日本CTO協会の皆様、熱意あるご指導をいただいた講師の皆様、そして本研修を支えてくださった企業の皆様に、心より感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。

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