「タレントとファンにとって居心地のいい場所でありたい」──ホロライブプロダクション公式アプリ「ホロプラス」のこれまでとこれから

「推しをもっと好きになる!」というテーマのもと、2023年8月にリリースされたホロライブプロダクション公式アプリ「ホロプラス」。

推しタレントの最新情報をもれなくチェックできるほか、タレントとファン、そしてファン同士でもコミュニケーションを取り合える機能が充実しています。また最近では、タレントの配信でホロプラスの機能を使った企画も行われるなど、活用場所も広がっています。

リリースから3周年を迎える今、ホロプラスはホロライブプロダクションにとってどういう存在なのか。また、これから先、どういう存在でありたいと考えているのか。ホロプラスの企画・運営を担当するコマース本部ホロプラスチーム マネージャーのTさんに、話を聞きました。

タレントとユーザーの「安息の地」ホロプラスとはどんなアプリ?

──改めて、ホロプラスがどういうアプリなのか教えてください。

ホロライブプロダクション所属タレントの、ありとあらゆる情報を集約して発信している場所です。それに加え、アンケートや、お題に対して匿名で投稿できる「ホロQ」など、ユーザー参加型の機能も備えています。公式からの情報発信だけでなく、ユーザーからの発信も混ざり合っているのが大きな特徴です。

──ユーザー参加型の機能を充実させた理由はなんですか?

VTuber文化そのものがファンの皆さんの発信と切り離せないからです。動画の切り抜きやファンアートなど、ファンの方々が積極的に発信してくださったおかげで、VTuber文化は発展していきました。そういう意味でファンの方々の発信も、タレントの発信も、同じくらい大事なものなので、そこを区分けしないような形にできればと考えました。

──ホロプラスを運営する上で、大切にしている考え方はありますか?

ひとつは、ユーザーを大事にすること。立ち上げ当初から「世界一あたたかいコミュニティ」を目標に、アプリをダウンロードしてくれたユーザーがどういうことをしたいのか、何を発信したいのかを大事に考え、居場所作りを志向してきました。

もうひとつはタレント中心であること。ホロプラスはタレントがやりたいと思っていることをできる限り実現したいという思いで運営しています。配信や、日々のファンの方とのコミュニケーションで使う上で、どのような機能があったら便利かなということも常に考えています。

──他のSNSとホロプラスの違いは何だと思いますか?

一番大きな違いは、ホロプラスは「ファンしかいない空間」だということです。YouTubeやXのような“外”のサービスは、タレントが「もっと大きくなりたい」「こんなことをやりたい」という夢を叶える上で必要不可欠な場所です。とはいえ、そこには自分のファンじゃない人たちもたくさんいて、ずっと居続けるのはしんどいこともあるはず。それに対してホロプラスには、ホロライブが好きな人が集まっているんですね。

3Dライブ「ときのそら生誕祭」に際してホロプラスで募集した応援コメントを配信画像に合成、壁紙として配布した

さらにモデレーションを社内で実施していて、万が一荒らしやアンチコメントがあったときには、すぐ削除対応できるようにしています。以前、タレントに「ホロプラスは安息の地」と言ってもらったことがあるのですが、まさにそういう場所になるように、日々運営しています。

新規ファンの方が最初に辿り着く場所になりたい

──ホロプラスは今年の8月でリリース3周年を迎えます。この3年間で、特に大きな変化は何でしたか?

2025年9月に、ユーザーだけではなく、タレントもアプリ内に投稿できるようにしたのは大きな変化でした。もともとリリース当初は、ユーザー同士が交流できるファンコミュニティだったのですが、ファンコミュニティとしての特徴は継承しつつ、タレントの参入によって、ホロプラス内で新たなコミュニケーションやエンタメを生み出せるようになりました。

──今までファンしかいなかった場所にタレント本人が降臨するとなると、ファンの方としては緊張することもありそうです。

その通りだと思います。なので、タレントが投稿する場所とユーザーが投稿する場所を分けました。適度に距離を取りつつ、でも適度に混ざり合う。バランスはすごく難しいんですが、気をつけています。

──現在の利用状況はいかがですか?

アクティブユーザー数は非常に多いです。また継続率も高く、一度ダウンロードしたユーザーがずっと使い続けてくれています。ユーザーのエンゲージメントは高いアプリだと思います。現状はある程度、コアなファンの方が集まっている場所だと思うのですが、ライトなファンにも門戸を開いているアプリでありたいと思っています。

「このタレントってどんな人なんだろう?」「ホロライブプロダクションってどういうところなんだろう?」「どういうコンテンツを発信しているんだろう?」という情報が、ホロプラスを見ると全て分かるので、新たにホロライブプロダクションのタレントに興味を持った方が、最初に辿り着く場所でありたいと考えているんです。

そのために、タレントの配信でホロプラスを使用してもらうなど、新規ファンの方が辿り着くための経路作りは意識的に行うようにしています。

──ファンの方にとって、ホロプラスはどんな場所でありたいですか?

「ホロ活」をする上で必要不可欠なアプリでありたいです。配信を見るとか、グッズを集めるとか、ライブに行くとか、ファンの方によって楽しみ方はさまざまだと思うのですが、その全てにホロプラスが関わっていて、毎日ファンの方がチェックしてくれるような、全てのホロ活の起点になるようなアプリでありたいです。

自動翻訳機能で世界中のファンが交流!ホロプラスの可能性

──ホロプラスだからこそ生まれた交流や反応で、印象に残っていることはありますか?

2025年7月からホロライブインドネシア所属のクレイジー・オリーさんにホロプラスのグローバルアンバサダーを務めてもらっています。インドネシアはもちろん、英語圏にも日本にもファンの方がいらっしゃるオリーさんですが、ホロプラスには自動翻訳機能があるので、オリーさんの発信に対して様々な国の方が即座に反応してエールをくださいました。ホロプラスを通じて、国境を超えて繋がることができるんだと実感した出来事でした。

──ユーザーの声で実装した機能はありますか?

タレントがボイスを投稿できる機能はユーザーさんからのご意見を聞いて生まれたものになります。声はタレントの大きな魅力の一つ。それを発信できるということでタレントからの評判もすごく良いです。1分間という制限付きではあるんですが、制限があるからこその面白みもあり、まだまだいろんな可能性を秘めた機能だと思っています。

今後もユーザー、タレント、双方からの要望にはできる限り答えていきたい。ホロプラスはカバー社内に開発組織があるので、そういった要望にフットワーク軽く、柔軟に対応できるところも強みだと思っています。

──今後、ホロプラスをより良いコミュニティにする上で、目指すことはありますか?

「ホロライブプロダクション」と聞くと、それが一つの大きなコミュニティになっているように見えますが、中身を見ていくと、それぞれのタレントに独立した世界観があって、ファンコミュニティがあります。私はそれら全てのコミュニティが共存している状態が「良いコミュニティ」だと考えています。ファン同士で対立し合うこともなく、逆に過剰に混ざり合うこともなく、それぞれのコミュニティにとって居心地のいい場所であり続けること。それがホロプラスを運営する上で大事な考え方だと思っています。

タレント配信を支援する「スポンサー」制度

──先ほど、クレイジー・オリーさんのお話もありましたが、他にタレント機能ができてから印象的だった事例はありますか?

白上フブキさんと尾丸ポルカさんのチルラジオ「狐族密会」のスポンサー支援として、配信前に設定されたトークテーマの投稿を募集したり、選ばれた投稿者には記念としてお渡しするロゴステッカーを作成しています。同じ社内なので、厳密な意味での「スポンサー」ではないんですが(笑)。あと、オリーさんはPLUS SURVEYというホロプラス内のアンケート機能を使って番組をやってくださったりしていて、それも嬉しいです。

──今年の6月には「ホロ金策サバイバル2」との連動企画もありました。

そうですね。獅白ぼたんさん主催で行われたマインクラフトの大型配信企画で、配信終了後にその日の出来事をレポート記事としてホロプラスで公開していました。配信終了後に振り返り会議をして記事を書くとなると夜中になってしまうので大変でしたが、今思い返してもいい企画だったと思います。公式アプリとして、面白いことを全力で支援していきたいです。

──毎週火曜朝7時から配信されている博衣こよりさんの「朝こよ!」もホロプラスで投稿募集をしていますね。

「朝こよ!」はホロライブの最新情報を発信する番組です。ホロプラスもホロライブの様々な情報が集まってくる場所なので、親和性があると思いました。情報発信でいうと、ホロアナ(holoAN)との連携企画も行っていますね。もともと、初代アナウンサーの春先のどかさんがホロプラスの宣伝隊長を勤めていたこともあり、現在もアナウンサーたちとマメに連携を取りながら、ファンの方々のホロ活を支えています。

──公式ショップやイベントとの連動についても教えてください。

オンライン(アプリ)とオフライン(実店舗)を繋げようという試みは色々やっています。例えばホロライブプロダクション公式ショップに行って、グッズを購入し、それをホロプラスで投稿したら景品が当たるとか。逆に、ホロプラス内でオンラインくじを引いて、当選するとイベント会場で景品がもらえるという取り組みもありました。

ホロプラスとポップアップストアが連携した企画で制作したブーケ(棚中央)

カバー社員にもホロプラスを活用してもらえるように

──タレント側からの反応で印象的だったことを教えてください。

オリーさんが公式グローバルアンバサダーに就任して1周年のタイミングで、ホロプラス内のバナーを全てホロプラスチームからオリーさんへの感謝のメッセージに変えるというサプライズ企画を行いました。オリーさんがそれをすごく喜んでくれて、配信でも触れてくれたのはとても嬉しかったです。

私たちは普段、タレントからもユーザーからも「ホロプラスがあってよかった」と思ってもらいたい、というモチベーションで仕事をしています。チームメンバーも実はめちゃくちゃエゴサをしていて(笑)。ユーザーがホロプラスを褒めているような投稿を見かけたときは、チーム内に欠かさず共有するようにしています。

──ホロプラスはカバー社内他部署と連携しての施策も多いですが、気をつけていることはありますか?

冒頭で「ホロプラスはユーザーとタレントのためのアプリ」という話をしましたが、もう一つ、カバー社員もホロプラスのステークホルダーです。社内の他チームやプロジェクトが何か情報発信したいと思ったり、ユーザーとコミュニケーションしたいと思ったときも、ホロプラスを活用してほしいと思っています。なので、タレント同様、カバー社員にもホロプラスが一番、熱量が高くて愛を持っているファンの方々がいらっしゃる場所だということを認識してもらえるように意識しています。

「社内で一番いいチーム」をマネジメントする上で心がけていること

──ここからはチームメンバーやTさんご自身について、もう少し詳しく伺っていきたいです。まず、Tさんはどういうバックグラウンドでカバーに入社されたのでしょうか。

前職はゲーム業界で編集やeスポーツのプロデューサーの仕事をしていました。その頃は私にとってVTuberは「ゲーム業界を盛り上げてくれている存在」として、なぜ人気なのか、どういう人たちなのか、という分析の対象でした。その後、カバーに入社してタレントの活躍を見ていくうちに、改めてリスペクトの気持ちを持つようになりました。タレント一人ひとり個性がバラバラで、一言で「VTuber」と言ってもすごく幅広い活動をされている。タレントによって持っている世界観や活動内容が全然違うからこそ、スタッフも様々な領域の知識を求められることが多く、大変ですがやりがいがあります。

──現在、ホロプラスチームにはどのような社員が所属しているんですか?

コンテンツや企画を考えるメンバーと、PdM(プロダクトマネージャー)としてプロダクト全体を見るメンバーと、エンジニアメンバーと、デザイナーで構成されています。

──Tさんはマネージャーという立場ですが、チームをまとめる上で意識していることはありますか?

メンバーそれぞれが一人で抱え込まないように、というのは気をつけています。タレントによって活動内容が多様だからこそ、全部を一人で対応するには限界があります。何事もこまめに共有し、チームみんなで動いて、チームみんなで対応することで、よりいいものを作れるんじゃないかと考えています。

──現在、チームの雰囲気はどんな感じですか?

お互いきちんとコミュニケーションをとって、みんなで考えて、みんなで褒めあっていいものを作ろうとしている、我ながら社内で一番いいチームだと思っています。何より、メンバーみんなホロプラスのことが大好きなんです。これは私が入社したときから変わらないチームの良さなので、私がマネージャーという立場になってからも、そのいい雰囲気は引き続き維持していきたいと思っています。

──いい雰囲気を持続させるために、具体的に行っていることはありますか?

お互いの発信に、ちゃんとリアクションをすることですかね。メンバーの誰かが「こんないいことがありました!」と報告してくれたとき、真っ先に「いいね」とスタンプを押すとか。細かいことですが、みんな自分の発信に対してリアクションをもらえると「また発信したい」と思うはずなので、気をつけています。

タレントやユーザーの声を聞いて進化していく、ホロプラスの未来

──どんどん新機能が搭載され充実していくホロプラスですが、新機能を企画する上で気をつけていることはありますか?

常に念頭に置いていることは「ユーザーとタレントに楽しんでほしい」ということです。具体例を挙げると、ホロプラスって投稿に対して一人のユーザーが100回「いいね」を押せるようになっていて。1回押すのも100回押すのも同じだし、意味がないと思われるかもしれないですが、これは手動で100回「いいね」をタップしているうちに、どんどん愛が深まっていくという演出なんです。

「いいね」を押したときに出てくるマークにもいろんな種類があって、以前、期間限定でそのマークをタレントの顔アイコンにしたこともありました。それもやることで何か意味があるかと言われたら、別にないかもしれないですが、単純にテンションが上がるじゃないですか。そういう遊び心が大事だと思っています。

──ありがとうございました。最後に、これからのホロプラスについて考えていることなどあれば教えてください。

実は、確固とした中長期的なプランをあえて設けないようにしています。というのも、タレントもファンコミュニティも、かなりのスピードで変化していっている。常にタレントやユーザーさんの声を聞きながら、そのときにみんなが楽しいと思ってもらえる方向に舵を切っていくことで、ホロプラスを進化させていきたいです。

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