魅力を最大限に引き出す!3DライブにおけるQAについて

ぶんぶんぶーん!押忍!🐧⚡
はじめまして。
カバー株式会社クリエイティブ制作本部技術開発部品質管理チームのIです。

品質管理チームでは主に3DライブのQAを担当しておりまして、今回はQAという職種と3DライブにおけるQAについてご紹介したいと思います。

QAとは?

まず初めに、QAとは「Quality Assurance」の略で、品質保証を意味するものとなります。

主な活動内容としては、まず品質目標を設定し、それを達成するための計画を策定します。そして、テスト設計→テスト実行を行い、定められた品質基準を満たすことを保証するための業務となります。

QAの重要性の一つに、満足度の向上と信頼の獲得に直結する点があります。高品質な製品・サービスを提供することで、ロイヤリティを高め、ブランドイメージ向上への貢献を目指しています。

今回はその中でも3Dライブにおける「テスト実行」の部分を主にお話させていただこうと思います。

3DライブにおけるQAの役割

カバーでは3D制作〜本番までの間、多数の工程がありクオリティの高いライブをお届けできるよう、各セクション協力して1つの作品を作り上げています。

3DライブのQAでは、各アセットがデザイン仕様を満たし、技術的な要件をクリアして欠陥なく期待される品質基準に達しているかを確認するプロセスとなります。QAが不可欠な理由は多岐にわたります。

ビジュアル的魅力の追求:
キャラクターモデルの第一印象は極めて重要となります。プロポーションの崩壊やテクスチャの乱れ、不自然な変形などはモデルの魅力を著しく損ないます。
意図した通りの「動き」や「表情」を正確に反映させることでタレントの皆様の魅力を最大限引き出します。

技術的安定性とパフォーマンス:
3Dライブを行うためのアプリケーション動作に不具合が発生した場合、タイムスケジュールの遅延や本番のトラブルに繋がります。

チーム間連携の円滑化:
明確な品質基準をもつことでディレクター、モデラー、エンジニアなど関係者間のスムーズな連携を促進します。

単に完成品をテストするだけではなく、制作や開発全体を通して品質を作りこみ、品質の維持・向上を目標としております。

3DライブのQAは何をするの?

3DライブのQAでは、単にキャラクターモデルのチェックをするだけでは不十分で以下の領域においてもテストを行う必要があります。

  • キャラクターモデルQA
  • モーションQA
  • ステージQA
  • システムQA
  • 総合QA

プロジェクトによって異なりますが、主に上図のようなフロー、枠組みで進行しております。
それでは、それぞれの領域について具体的なチェックポイントを挙げていきたいと思います。

1.キャラクターモデルQA

汎用的な3Dモデルの基礎に加え、ライブ特有の要件を満たしているかを確認します。

三面図・デザインとの整合性:
キャラクターの全体的な形状、シルエット、顔つき、体型、服装、装飾品などが、オリジナルのデザイン意図を正確に反映しているか。
ボーン構造:
関節を曲げた際の不自然な変形、隣接するパーツ間で貫通や不自然な追従が発生していないか。
フェイシャル表現:
リップシンクや視線追従、表情の切り替わりが自然か。

2.モーションQA

タレントの皆様の動作を正確に反映できるのかを確認します。

標準的なアニメーション再生:
アイドル、歩行、走行、ジャンプなどの基本的なアニメーションを適用し、全体の動きが滑らかで自然か。
スーツテスト:
モーションキャプチャースーツを着用し、実環境での動作で破綻が発生していないか。

3.ステージQA

ライブ空間全体の品質と、パフォーマンスを引き立てる演出要素を確認します。

ステージデザイン:
ステージモデルがライブの世界観を表現できるよう、十分な品質であるか。
ライティング:
想定されたライトコントロールが行えるか。
ロケーション配置:
指定したロケーションに配置した場合に浮きやめり込みが発生していないか。

4. システムQA

ライブアプリケーションの安定性について確認します。

標準動作:
ライブアプリケーションで仕様通りの動作が行えるか。
機能拡張:
新規機能追加に対しての動作と既存機能に影響がないか。

5.総合QA

前述した工程の個別要素だけでなく、ライブを想定した品質を確認します。

組み合わせテスト:
本番を想定した組み合わせで描画順のエラーが発生していないか。
パフォーマンス負荷:
CPU、GPU負荷によるFPSの低下が発生していないか。

このように、キャラクターモデル・ステージ・照明などが複雑に干渉する中、映像として不具合がないようにチェックを行っております。

効率的なQAの進め方について考える

これらのQAを進めるうえで切り離せないのがコストとなります。
もちろんコストをかければかけるほど正確なチェックは行えますが、カバーではQAが必要なプロジェクトが年間200件以上進行しており、人的リソースも有限のためコストの最適化が必須となってきます。
そこで品質管理チームでは現在進行中のものも含め以下の改善を行っております。

タスク管理ツールの有効活用:
mondayを利用し、プロジェクト、アセット、不具合の情報を一元管理することで円滑な進行と情報共有を行えるようになりました。

明確な基準の制定:
汎用的な不具合報告の基準値を制定したうえで、プロジェクトの要件に基づいた具体的な品質基準を設定することで、プロジェクト毎に最適なチェックで進行しております。

自動化とツールの活用:
こちらは現在進行中ですが、テストシナリオ実行のRPA化、過去不具合データを活用した自動分析ツール等の開発を行い、ヒューマンエラーや作業時間の削減に貢献することを目的としております。

コミュニケーションとフィードバック:
制作者とQA担当者、そしてプロジェクト関係者間でオープンかつ建設的なコミュニケーションを促進し、品質向上のためのフィードバックを積極的に行える文化を醸成できるよう努めております。

QAが品質の最終防衛ラインという考え方もあるのですが、僕としてはプロジェクト全体で改善できるよう動いていきたい、と考えております。

まとめ

今回はカバー社内における3DライブのQA業務を中心にご紹介させていただきました。

エンターテインメントにおけるQAというものは、単なる「間違い探し」ではないと思っております。特にライブという枠組みでは、もとから決められた動きはないので難しい部分もありますが、タレントの皆様の魅力を最大限に引き出せるよう、日々改善に取り組んでおります。

最高な3Dと最高な企画を最高な状態で視聴者の皆様にお届けできるよう尽力してまいります!
今後とも楽しんでホロライブプロダクションのライブをご視聴いただけると幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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