バーチャルがリアルに溶け込む瞬間──ホロライブプロダクションの等身大フィギュアができるまで

3月6日から8日に開催された『hololive SUPER EXPO 2026』(幕張メッセ)にて、ホロライブプロダクション所属「さくらみこ」の等身大フィギュアがお披露目されました!

カバーでは、これまでにも多数のタレントの等身大フィギュアを企画してきました。毎度、ハイクオリティなフィギュアを制作してくださっているのが、株式会社デザインココさんです。

本記事では、これまでにカバーとデザインココさんが企画・制作してきた等身大フィギュアを振り返りつつ、また、今回のさくらみこフィギュアの制作工程にも密着。VTuberとして活躍するタレントたちを等身大フィギュア化する際のこだわりや魅力に迫ります。

カバーにおける等身大フィギュアプロジェクトの歴史

カバーとデザインココさんが最初に等身大フィギュアを制作したのは、2022年。フィギュアとなったのは、ホロライブEnglish卒業生の「がうる・ぐら」でした。『hololive SUPER EXPO 2022』の会場でお披露目されたこのフィギュアは、キュートなポーズと造形の美しさで大きな話題を呼びました。

また2025年4月〜5月には、東京・SHIBUYA TSUTAYAに展示された「フワワ・アビスガード」「モココ・アビスガード」等身大フィギュアも制作。

こちらは、SHIBUYA TSUTAYAリニューアルオープン1周年を記念した新規プロジェクト「AXGRIT(アクスグリット)」の立ち上げを記念して作られたもの。衣装や付属ユニットはAXGRITオリジナルのデザインになっています。2人の表情の違いや、躍動感あふれるポーズ、そしてケモミミや尻尾のモフモフ感など、質感も見事です!

▼参考記事

その他にも今日に至るまで、「兎田ぺこら」「星街すいせい」「宝鐘マリン」「hololive GAMERS(白上フブキ、大神ミオ、猫又おかゆ、戌神ころね)」など、合計10体以上の等身大フィギュアがデザインココさんによって世に送り出されてきました。

どれも可愛らしく精巧な作りです。これらのフィギュアはイベントやライブに出張したり、会社エントランスに飾られたりと、いろいろな形で活躍しています。

おるだん先生描き下ろし! さくらみこ等身大フィギュアができるまで

ここからは、今回お披露目されたさくらみこさんの等身大フィギュアについて、制作の過程をレポートします!

本企画が立ち上がったのは2025年の夏ごろ。

現在、等身大フィギュアを企画・進行しているのは、マーチャンダイジング本部のライセンス部。主に、ポップアップイベントやライブなど、タレントさんやホロライブプロダクションにとってのここぞというタイミングに合わせて企画・制作されています。

今回のさくらみこフィギュアは、京都TSUTAYA IP書店オープン記念で開催される「さくらみこPOP UP SHOP」(2026年4月28日〜)に合わせて企画され、3月5日に配信された「さくらみこ生誕祭2026」内で情報解禁されました。

等身大フィギュアは非売品となっていますが、等身大フィギュアと同じポーズ・衣装の1/7フィギュアも同時制作。こちらはファンの皆さんが購入することができる商品として制作されます。

フィギュア化にあたり、まず必要になるのが元となるイラストです。既存イラストを参考にすることもありますが、新規でオリジナルイラストを描き下ろしてもらうことも。今回は、人気イラストレーターであり、ホロライブの数々のイラストや衣装などを手掛けてきたことでおなじみ、おるだん先生がイラストを担当。オリジナルイラストを描き下ろしていただきました。

赤い塗装が鮮やかな和風の橋の上、やわらかな笑顔を見せるさくらみこさん。風になびく衣装の袖や裾がとても美しいですが、立体フィギュアにするとなると、難易度も高そうです。

制作工程は大きくわけて「3Dデータ」「原型」「彩色」の3つ。各工程でどのようなことをしているのか、詳しく見ていきましょう。

数回の試作と監修を重ねる「3Dデータ」「原型」づくり

まず最初は、元イラストを3Dデータに起こす作業から。デザインココさんの3D CGチームが、いちから3Dデータを作っていきます。最初はざっくりとした人型のシルエットを作るところから始まり、徐々に顔の造形や髪の流れ、衣装など、細かいところを作り上げていくそう。

出来上がった3Dデータはカバーのライセンス部が監修し、デザインココさんが監修を元に修正……というやりとりを何度か重ねて、3Dデータを完成させます。

2つ目のステップは、そのデータを3Dプリンターで出力し、原型を作る作業です。モニター上で見て違和感がなくても、実際に立体にしてみると数ミリ単位で違和感が生じるもの。こちらも何度か監修を重ね、細かい部分まで違和感が出ないように調整していきます。

原型を組み立てたものがこちら。瞳以外は未着色ですが、すでに「みこちだ!」とわかる状態になっています。

ちなみに等身大フィギュアも、スケールフィギュアと同じく、パーツを組み立てて立体を作るという構造になっています。組み立てには30分ほどかかっていました。

原型は、宮城・仙台にあるデザインココさんのスタジオから、都内のカバー本社に運ばれ、両社共同の監修を行います。デザインココさんとカバーの監修チームが複数人で、1パーツずつ原案イラストや、大元のスタイルガイドと照らし合わせながら、間違いや違和感がないかチェックしていきます。正面だけではなく、横から、後ろからと360度くまなく確認。

立ち姿や衣装の細部だけでなく、台座になっている橋や周りに舞っている桜の花びらも入念にチェックしていきます。

今回の監修フィードバックをもとに、ここから更に原型に修正を加えます。

光の加減や布の質感で生まれるグラデーションまで表現する「彩色」

原型が完成したら、次は原型に色を着ける「彩色」の工程に進みます。

彩色段階でも大事にされていたのは、「立体にした時の違和感のなさ」。

たとえばピンク1色の服だとしても、光にあたっている部分と影になっている部分では、ピンクの濃さが異なるのだとか。また、布の質感や肌との重なりによって色味が違って見える部分も。それらをリアルに表現するため、デザインココさんの彩色チームが何十色も掛け合わせながら色を作り上げ、彩色しているそうです。

今回も、彩色されたパーツが宮城のデザインココから届き、カバー社内で組み立てられます。

組み立て後の姿はこちら。これはもう……みこち!

もう完成では?と素人目には見えますが、原型同様、ここから両社が念入りにチェックします。

特に議論がかわされていたのは、瞳の虹彩の向きや大きさ、深み。元イラストを丁寧に参照しながら、修正の方向性を決定していました。

このように大勢で集まって行う監修の回数は、各工程で1〜2回程度。ですがその間にも、カバーとデザインココさんの間では何度もメールや電話のやりとりが重ねられ、綿密な打ち合わせを繰り返しながら作り上げられていくそうです。

そんな各工程を経て、EXPOでお披露目された完成フィギュアがこちら!

橋の上で桜の花びらとともに舞うさくらみこさんの姿がとても綺麗ですね。

こちらの等身大フィギュアは世界に一つだけですが、サイズを小さくした1/7スケールフィギュアも期間限定で発売されます! 

詳しくはデザインココさんのオンラインショップ「COCO STORE」をご確認ください。

ぜひ、皆さんのお部屋にもお迎えしてあげてくださいね。

職人魂で細部にも意外なこだわりが。制作陣にインタビュー!

ここからは実際に担当者に制作裏話を聞いていきましょう。今回のさくらみこ等身大フィギュアについて、制作を担当されたのはデザインココのディレクター・千賀さんと、クリエイティブディレクターの酒井さん。そしてカバーのライセンス部Division1チームの松田さんです。

制作にあたってこだわった点について聞くと、最初に松田さんから「一番はお顔です」という回答が返ってきました。

松田「顔のパーツは数ミリズレるだけで全く違う印象になりますし、瞳の向きや虹彩・瞳孔も、コンマ数ミリでもズレると見ている人と目線が合わなくなってしまうんです。」

酒井「我々も瞳の彩色は一番こだわって、時間をかけています。それ以外ですと、メインとなるピンク色をできる限り原案イラストに近づけられるように意識しました。また、髪飾りや衣装についている金色のパーツは単純にゴールド塗装をするのではなく、これもイラストの雰囲気に合わせた金色の解釈で彩色しました。」

タレントへのリスペクトと愛情が伝わってきます。さらに、造形の段階では「身体と衣装がくっついて見えないように、重なる部分は特に慎重に制作している」とのことでした。

また、1/7フィギュアを制作する上で気をつけていることもあるそうです。

千賀「等身大フィギュアはのっぺりした印象にならないように、色の種類を細かく分けて光と影を再現したり、髪の毛の流れを精密に作ったり、ディティールを詰め込んでいく大変さがあるのですが、1/7スケールフィギュアは小さい分、0.0何ミリでもズレるとお顔の印象が大きく変わったり、色がはみ出してしまったりする。造形が細かすぎると工場での量産時に反映できなかったり、不良が出てしまう。どちらも違った難しさとやりがいがあります。」

松田「そうですね。特にフィギュアは手作業による大量生産ということから、品質を一定に保つことが難しい商品でもあります。
フィギュア化において最も避けなければならないのは、以前、尾関さんがインタビューでも話してた『予約時の写真(彩色見本)と、実際に届いた商品でクオリティに差がある』という事態です。世の中には製品版でクオリティが落ちてしまい、手に取ったファンの方ががっかりしてしまうような事例もゼロではありません。
私たちの仕事は『ファンの方に価値の高い、本当に良いものを届けること』です。
だからこそ最後の工程である量産前のテスト品監修は、時間をかけて念入りに行っています。このプロセスがあって初めて、自信を持ってファンの皆さんの元へお届けできる。それが私たちの使命だと感じています。」

写真は左が原型監修時、右が色つけ監修時のもの。
こちらも、等身大フィギュア同様、カバーでの監修を経て、細部が調整されました。

また、千賀さんから等身大フィギュアの細部についてこんな裏話も。

千賀「今回、台座が和風の赤い橋になっているのですが、これは木材で作っています。通常のフィギュアは台座もフィギュア本体と同じような素材で作るので、最初はこの橋も本体と同じ素材で作って、上から木製の橋っぽく見えるようにベニヤ板を貼ろうかという話をしていたんですが。実は、弊社には前職が家具職人だった従業員がいて、彼が作っているうちに職人魂が燃えてしまったらしく(笑)本物の橋のように木材で作ろう!となりました。」

今後、ポップアップショップなどで等身大フィギュアを見る機会がある方は、ぜひ台座の材質もチェックしてみてください!

「ファンの方だけではなく、タレントさんご本人に喜んでいただけるのも嬉しい」フィギュア制作のやりがい

日々、フィギュア制作に情熱を注いでいる皆さん。お仕事をする上でのやりがいはどんなところにあるのでしょうか?

千賀「イベントなどで等身大フィギュアを展示すると、ファンの方が列を成して見に来てくださるんです。SNSですごく細かくフィギュアの感想を書いてくださっている方もいて、そういう反応を見るとやっぱり嬉しいですし、やりがいを感じます。」

酒井「ファンの方がフィギュアの写真を撮ってくださっているところを見ると、職人冥利に尽きるというか、達成感があります。あとは、タレントさんご本人から反応をいただけるのもすごく嬉しいですね。配信などで『すごく可愛い』とか感想を言ってくださると、こちらも配信画面を見ながら満面の笑みになります(笑)。」

千賀「ご本人に喜んでいただけるのは、VTuberさんならではですよね。弊社では他にもアニメや漫画のフィギュアも制作しているのですが、アニメや漫画のキャラクター本人から反応をもらえることは当然ないので。弊社の従業員の中にもホロライブのファンが大勢いるので、タレントさんが良い反応をくださると、会社全体で喜びますし、『次はもっと良いものを作ろう!』とモチベーションアップに繋がります。」

一方、松田さんにはカバー社員の立場からコメントを。

松田「私自身もフィギュアが大好きで、自宅には大型スタチューやスケールフィギュアを含め100体以上をコレクションしています。その『好き』だからこその熱量で、さらにクオリティの高いフィギュアを作り出し、フィギュアを通じて多くの人にホロライブプロダクションの魅力を伝えていきたいです。
実際、私も経験があるのですが、フィギュアの魅力って理屈じゃないんですよね。街中でふと目にしたフィギュアに心を動かされ、そこからホロライブを知ってくださる……そんな素敵な出会いのきっかけを自分の手で作っていけるのは本当に光栄なことです。
今後もホロライブプロダクションを知るきっかけになれるような、魅力的なフィギュアを届けていきたいです。」

バーチャルな存在であるホロライブのタレントを、配信技術とは別の形で私たちの日常に接続するフィギュア制作の世界。今後も、新たな等身大フィギュアがこの世に生まれるのを楽しみにしています! 


【「さくらみこ」POP UP SHOP 開催情報】

期間:2026年4月28日(火)〜7月28日(火)
会場:京都IP書店
詳細:https://tsutaya.tsite.jp/articles/store-5166

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