
2025年5月18~19日、ホロライブプロダクション所属の獅白ぼたんさんの主催によって、人気格闘ゲーム『STREET FIGHTER 6(ストリートファイター6)』の大会「獅白杯3rd STREET FIGHTER 6 powered by HP」が開催されました。レベルの異なる3部門のトーナメントとエキシビション、計4つのセクションが2日間で行われ、30名のプレイヤーと3名の実況解説が参加しました。
大会の模様は獅白ぼたんさんのYouTubeチャンネルで行われた本配信に加え、各出演者の視点配信、非出演者のミラー配信、さらにはパブリックビューイング会場でも届けられました。また多数のスポンサーの協賛により、大会をより盛り上げる三方良しの取り組みも実現。
今回COVERedge(カバレッジ)では、この獅白杯(ししろはい)についての特集を実施。全3回にわたって、獅白杯の魅力とその舞台裏に迫っていきます!
第1回となる本稿ではこれまでの獅白杯を振り返りつつ、タレントとカバーが生み出した熱狂と影響力についてご紹介します。
獅白杯の発足背景にあった、eスポーツとVTuberの融和
近年勢いづくeスポーツ業界。「日本eスポーツ白書2024/角川アスキー総合研究所」によると、2023年国内eスポーツ市場は前年比117%の146.85億円に到達。2025年に向けて、市場規模は200億円に迫る勢いであると予測されています。すでにさまざまな業界の企業が、eスポーツプロチームのスポンサーやイベント協賛に乗り出しています。
さて、そんなeスポーツ業界とVTuber業界の融和が加速していることをご存じでしょうか。
ゲームにあまり詳しくない人にとって、eスポーツシーンやプロゲーマーの大会は少し敷居が高く感じるもの。しかし普段から見ているVTuberがプレイするのであれば、視聴の心理ハードルも下がります。初心者から始めたVTuberがうまくなっていく過程を応援したり、ゲームを媒介にして他の活動者と交流する様子を見守ることで、VTuberと一緒にゲームを楽しみながら詳しくなっていけるのです。
そのなかで、自己研鑽だけでは成し得ないスキルアップや、大会・対戦会などの対人戦で勝つために、プロゲーマーからコーチングを受けるケースがありました。そのコーチングの模様は配信や動画として発信され、両業界の接点として機能しています。回を重ねた結果、師弟のような関係になっているプロゲーマー・VTuberもいます。
獅白杯を主催している獅白ぼたんさん自身は、2023年6月に開催された「第1回 Crazy Raccoon Cup Street Fighter 6」に招待選手として参加したことをきっかけに、『STREET FIGHTER 6』をプレイし始めました。なお「Crazy Raccoon Cup」とはプロゲーミングチームのCrazy Raccoonが主催する招待制の大会で、さまざまなプロゲーマー、ストリーマー、VTuberが参加しています。
獅白ぼたんさんは複数のプロゲーマーからコーチングを受けつつプレイ配信を重ね、1年後には、一般的に上級者帯と言われるマスターランクに見事到達しました。もともと筋金入りのゲーマーで、外部メディアから「ゲーミングデバイス選び」についてのインタビューを受けるほど。そんな彼女の「大会に参加する側だけでなく、主催側にもチャレンジしてみたい」というシンプルな思いから、獅白杯が生まれました。
主に大会設計や当日の進行を獅白ぼたんさんが中心となり、協力会社・関係各社との連携にはカバーも支援するという共創体制で2024年3月31日に第1回となる「獅白杯 STREET FIGHTER 6 powered by GALLERIA」、同年10月13・14日に第2回「獅白杯2nd STREET FIGHTER 6 powered by GALLERIA」が開催。こうした大会運営活動も評価されたのか、獅白ぼたんさんは年末に発表された「日本eスポーツアワード2024」で、ライブエンターテイメント部門VTuber賞を受賞しました。
獅白杯ならではの特徴
オンラインのeスポーツ大会は、日々さまざまな形式で開催されています。その中でも獅白杯の特徴といえるポイントをご紹介します。

まず、獅白ぼたんさん自身の発信力・ブランド力によって、著名なプレイヤーや実況解説者の起用が実現している点です。同じVTuberはもちろん他の界隈で活躍する人も集まることで、複数のファンコミュニティのハブとしての機能を果たすだけでなく、ここでしか見られないドリームマッチも生まれています。またプロを招くことで大会レベルの上限が上がり、幅広い層に見ごたえのある試合を届けることができます。
実況解説陣は朝日放送出身のeスポーツキャスター・平岩康佑氏をはじめとする、獅白ぼたんさんがオファーしたキャスターやプロゲーマーが務めています。大会の格・質の担保はもちろん、視聴者の中には『STREET FIGHTER 6』をプレイしたことがない人も多いため、実況・解説のおかげで戦況が理解しやすくなるメリットもあります。
公募枠の存在も特徴的です。たとえば第3回の募集では、対象ランクに加えて「『STREET FIGHTER 6』の配信経験があること」「当日に個人視点配信を実施できること」「チャンネル登録者数1,000人以上」という条件が設けられました。加えて今回は勝ち上がりシステムがある都合上、最大2日は獅白杯に専念することになります。そのような状況で、254件もの応募が集まりました。
気になる出場者の選出方法ですが、獅白杯の場合、最終選考はなんと獅白ぼたんさんの配信で行われます。出場者それぞれに推しの活躍を願うファンの存在がある以上、どうしても賛否生まれやすい場面。しかし主催の獅白ぼたんさんが自身で決めている模様を詳らかにすることで、毎回見事にエンタメに昇華しているのです。
そして何より特筆すべき点は、VTuber主催の大会として最大級である、その規模感です。次のトピックでは、過去のデータレポートやスポンサード(協力会社)の取り組みをご紹介します。
獅白杯の実績と、協賛事例
獅白杯 STREET FIGHTER 6 powered by GALLERIA

まずは、2024年3月31日に開催された第1回獅白杯。獅白ぼたんさんのチャンネルで行われた本配信は、最大同時接続80,045人を記録(ミラー配信を含めた合計は190,806人)。さらにユニーク視聴者数は301,897人にのぼり、Xの日本のトレンドランキングでは4位を獲得しました。
協賛(順不同):ゲーミングPC GALLERIA(株式会社サードウェーブ)/nosh(ナッシュ株式会社)/VICTRIX by PDP(SB C&S株式会社)/Red Bull Japan(レッドブル・ジャパン株式会社)/GiGO(株式会社GENDA GiGO Entertainment)/esports Challenger’s Park(株式会社QTnet)/株式会社極楽湯/東京デザインテクノロジーセンター専門学校/VAXEE(硬派精璽株式会社)/TSUKUMO(株式会社Project White)
https://www.youtube.com/live/WISmLW6o3TE?feature=shared
獅白杯2nd STREET FIGHTER 6 powered by GALLERIA

第2回はさらに規模を拡大し、2024年10月13~14日の2日間での開催。1日目の本配信は、最大同時接続56,643人(ミラー配信を含めた合計は147,402人)、ユニーク視聴者数は296,410人。2日目の同データは72,040人(150,096人)、305,969人となりました。
協賛(順不同):ゲーミングPC GALLERIA(株式会社サードウェーブ)/Red Bull Japan(レッドブル・ジャパン株式会社)/elgato/株式会社 愛しとーと/VAXEE(硬派精璽株式会社)/REALFORCE(東プレ株式会社)/PWS JAPAN(兼松PWS株式会社)/esports Challenger’s Park(株式会社QTnet)/東京デザインテクノロジーセンター専門学校/GRAPHT(MSY株式会社)/野郎ラーメン(株式会社フードリヴァンプ)/DMM Factory(合同会社DMM.com))/nosh(ナッシュ株式会社)
Day1:https://www.youtube.com/live/VeSGhjDdX9w?feature=shared
Day2:https://www.youtube.com/live/bCCzUiK0nSY?feature=shared
獅白杯3rd STREET FIGHTER 6 powered by HP

そして迎えた第3回獅白杯。1日目は「マスターの部」「エキシビション」、2日目は「グランドマスターの部」「レジェンドの部」が開催されました。
今回も趣向を凝らした大会設計で、特に特徴的だったのは部門を超える勝ち上がり枠。マスター・グランドマスター部門の優勝者が、ひとつ上の階級のトーナメントに挑戦できるという獅白ぼたんさん発案のシステムです。視聴者・出場者ともに発表時点から大好評でした。
実際、マスターの部で優勝した渋谷ハルさん、グランドマスターの部で優勝したドンピシャさんは、ひとつ上の部門でも見事勝ち星を上げています。勝ち上がり枠のコンセプトとシステムがうまく機能したことで生まれた、大会ならではの名シーンだったと言えるでしょう。
1日目の後半に行われたエキシビションは、4人ずつ2チームに分かれた対抗戦。罰ゲームや景品をかけて戦い、トーナメントが“ガチ”な雰囲気に寄っていた代わりに、エキシビションが“エンジョイ”の空気を演出。初心者から玄人まで全ての視聴者を飽きさせない、メリハリをつけたことで見どころが生まれるプログラムとなっていました。
Day1:https://www.youtube.com/live/KfMCaSYkzAU?feature=shared
Day2:https://www.youtube.com/live/oxG7fehCTFk?feature=shared
第3回の協賛は下記の通りです。
株式会社日本HP/Red Bull Japan(レッドブル・ジャパン株式会社)/GRAPHT(MSY株式会社)/東京デザインテクノロジーセンター専門学校/VAXEE(硬派精璽株式会社)/HUB(株式会社ハブ)/JOYPOLIS(CAセガジョイポリス株式会社)/Turtle Beach(SB C&S株式会社)/味の素株式会社「あえて、®」

ここでは、特徴的だった取り組みを一部ご紹介します。
まずは冠協賛である日本HP。事前に獅白ぼたんさんのチャンネルで視聴者参加型配信が行われ、特別ミッションをクリアしたことで「獅白杯3rd協賛記念セール」が実現。視聴者を巻き込んだチャレンジ型施策により、お祭り感がアップしていました。
本番2日間のパブリックビューイングは、全国の「HUB」各店舗で行われました。5月9日から25日までは、獅白杯コラボドリンクの販売も。
大会直前には味の素株式会社「あえて、®」の協賛も発表されました。eスポーツプロジェクトを始めたばかりという同社からは、冷凍宅配弁当の「あえて、®」を提供。大会本番中に商品の紹介コーナーが設けられ、「まぜご飯ブラインドチャレンジ!」というクイズ企画を通して、商品の特徴が訴求されました。
獅白杯により産み出された価値
多数の出演者・企業のご支援によって、類を見ない影響力の大会となっている獅白杯。普段VTuberの配信を見ている層にeスポーツシーン・プロゲーマーシーンとの接点をもたらしたほか、一部出演者は獅白杯を機に脚光を浴びるなど、シンデレラストーリーも生まれています。関わる人みんなが「視聴者を楽しませたい、そして自分たちも楽しみたい」という思いを持っており、取り組みの随所に遊び心が見られるのも獅白杯が愛される理由のひとつです。
もちろん視聴者の存在も、大会にとってなくてはならないものです。配信のコメントで盛り上げるだけでなく、協賛による各種キャンペーンに参加したり、大会で気になった出演者を新たに推し始めたりと、獅白杯を見て生まれた感動・熱狂が原動力となって二次的な行動へつながっています。
「獅白杯特集」第2回・第3回の記事では、ご協力いただいた企業様やカバー担当者、そして主催の獅白ぼたんさんへの取材を通して、共創の裏側に迫ります。
※第2回・第3回記事は近日公開いたします。
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