「VTuberだからこそ、いろんな時空を自由に行き来できる」テーマの具現化に挑んだ「hololive SUPER EXPO 2026」の舞台裏

2026年3月6日(金)7日(土)8日(日)、幕張メッセにて「hololive SUPER EXPO 2026(以下EXPO)」が開催されました。
初の3日間開催となった今年のテーマは「hololive time-warp(ホロライブタイムワープ)」。その根底にあるのは、「あらゆる時代を自由に行き来し、無数のIF(可能性)を具現化できる」というVTuberならではの自由な発想です。

ワープ装置を思わせるエントランスを通ると、そこには近未来感あふれるひときわ大きなモニュメントがそびえ立っており、タレントそれぞれの歴史を振り返るような懐かしい映像が流れます。会場には、タイムカプセルをテーマにした展示や、時空を超えてタレントと対話できるモニタリングトークブース、一瞬の輝きを閉じ込めた3Dライブのブースなど、タレントたちが描き出す「もしもの世界」を体感できる仕掛けが随所に施されていました。まさに色々な時空を旅するように、ファン、タレント、そして協賛企業が手を取り合い、新しい時代の扉を開く。そんな特別な一体感に包まれた、熱狂の3日間となりました。

この舞台を裏方として支えた音楽・ライブイベント事業本部 イベント企画チームのYさんとKさんに、終了後の率直な感想から準備の全貌、当日の熱量、今後への展望を伺いました。
(取材日:2026年3月)

テーマ設計から展示空間を作り込む舞台裏

―初の3日間開催となった「hololive SUPER EXPO 2026」の会期を終えた今の気持ちをお聞かせください。

私は2023年からEXPOの全体マネジメントを担当してますが、今年は初の3日間開催ということもあり、より多くの方々にお越しいただいた分、その熱量はこれまで以上のものを感じました。開場のアナウンスが流れた瞬間にファンの方々から大拍手が湧き起こるのは、毎年のことながら圧倒される光景ですね。この熱量高いコンテンツに関わっている責任の重さと、一層の情熱を持って取り組んでいきたいと改めて痛感しますね。

私は一昨年からEXPO主担当として出展ブースやEXPOステージなどの制作を担っています。現場を担当していた身としては、まずは大きな事故がなく、皆さんが笑顔で帰途に着けたことにほっとしています。EXPOは約1年半という時間をかけて、タレントや各スタッフと対話を重ねながら準備を進めていきます。今回は新しいチャレンジも多かった分、無事にやり遂げられたという安堵感が大きいです。まだ各部署との振り返りが続いている最中ではありますが、少しずつ「終わった」という実感が湧いてきているところです。

―その長い準備期間の指針となったのが、今年のテーマ「hololive time-warp」ですね。このテーマはどのような経緯で決まったのでしょうか。

「VTuberだからこそ、いろんな時代を自由に行き来できるのでは」という発想からテーマの構想が始まりました。当初は特定の時代背景を再現するという方向性も検討しましたが、最終的には「(様々な時空への)タイムワープを繰り返すことで無数のIF(可能性)を具現化することができる。それがイベントをより楽しんでもらえ、新しいイベント体験に繋がる」というアイデアが生まれ、テーマの決定につながりました。

―テーマを具現化する過程で、特に重要視されたアウトプットは何でしたか。

まずは、すべての指針となるキービジュアルの制作です。「タイムワープ」から連想される近未来感をどう定義し、ホロライブプロダクションらしいワクワク感と融合させるかについては、非常に頭を悩ませました。今回は初めて描き下ろしという形でキービジュアルを発表することになったのですが、特にタイムワープして西暦3000年(Y3K)の近未来感へ、という衣装イメージの落とし込みに頭を悩ませました。

次の大きな壁は、キービジュアルで提示した空気感を実際の造形物としてどう具現化するか、という点でした。告知時点では、ファンの方々から「タイムワープって何?」という戸惑いの声もあり、私たちの伝えたいテーマをファンの方々にどこまで伝えられるか、と不安な面もあったのです。そこで、今年のEXPOの制作パートナー企業である博展さんと共に、展示空間の世界観に徹底的にこだわって、会場内の光の装飾や造形の細部まで作り込んでいきました。
特に「もしホロライブで【タイムカプセル】を作るとしたら、あなたは何を入れますか?」をテーマに掲げ、ホロライブメンバーの私物や制作物を展示した「hololive Time Capsule」ブースは、来場された方々に好評で、「一番印象的だった」という声を多くいただきました。たくさん頭を悩ませましたが、結果としてはすごくいいテーマとして世界観を作り込めたと思っています。

―企画づくりで大切にしていたことはありますか?具体的なコーナーも交えて教えてください。

タレントが自由に表現できる場をつくることで、ファンの皆様にもタレントの個性や意志がダイレクトに伝わり、より大きな反響に繋がると考えています。なので、企画づくりの大前提として「タレント自身が『面白そう』と心から思えるか」を念頭に置いて企画を行っていきました。

特に「hololive Time Capsule」のコーナーでは、タレントに「もしタイムカプセルに入れるとしたら、何を入れますか?」という問いかけをして、あとはすべてタレントの解釈に委ねました。結果、初めての配信で使った機材や未来のファンへ向けた手紙など、タレントそれぞれが選んだ私物や制作物が並び、本人のコメントやホロメン同士のメッセージも添えられる熱量の高いコーナーとなりました。各タレントの個性あふれる展示は終日賑わいが絶えず、「最高に見応えがあった」という声をたくさんいただきました。

私が担当した展示については、「タレント一人ひとりの個性にフォーカスすること」を最優先に掲げ、hololive OFFICIAL CARD GAMEやホロアース、hololive Dreams(ホロライブ ドリームス)といったプロジェクトの展示内容はあえて厳選しました。各ブースともタレントに焦点を当てた展示を中心に構成し、各担当チームと密に連携しながら、タレントとファンの皆様が繋がる場所として、一つひとつのブースを構築することを意識し、調整を重ねていきました。

準備を進める中で常に自問自答していたのが「運営側の思いが、ファンの皆様の期待と本当に一致しているか」ということでした。今年は去年よりもプロジェクトを絞ったのですが、それも「ファンが本当に求めているのか」という問いに立ち返ったからでした。特に未発表のプロジェクトは出せる情報が限られる中でいかに期待感を醸成するか、チーム内でお互いの知識を持ち合って「これを体験すればきっと喜んでいただける」という確信を一つひとつ積み上げていくことで、チームとして前向きに準備を進めることができました。

EXPOの経験が拓く、次の可能性

―今年は企業協賛の面でも大きな動きがありましたね。ビジネスシーンでの手応えはいかがでしたか?

毎年多くの協賛企業にご参加いただいていますが、今年は特に大型IPを持つ協賛企業とのコラボレーションが顕著でした。イベント前日には「GUNDAM」×「hololive production」スペシャルコラボの発表があったほか、スズキと輪堂千速さんが共同でデザインしたコラボレーションバイク「GSX250R[Chihaya Remix]」(非売品)の展示など、EXPOに合わせて大型プロジェクトが次々とアナウンスされました。
そうした知名度の高いブランドが、EXPOという場に合わせて動いてくださったことは、ホロライブプロダクションというブランドへの期待感の表れだと感じています。協賛社数自体はスペースの都合もあり例年と同等ですが、新規で初めて参加してくださった企業様もいらっしゃいました。

協賛ブースでは今後のプロジェクトや新商品の発表が行われることも多く、会場限定のノベルティ配布もあって、開場直後からほぼすべてのブースに行列ができるほどの盛況ぶりでした。協賛担当の営業からも、EXPOがファンの皆様の熱量を直接企業様へ伝えられる唯一無二の場だという声をよく聞きます。数値上のデータだけでなく、現場で起きている熱狂を目の当たりにした企業様が、それをきっかけに新しい市場や取り組みを生み出していく。そんな「入り口」としての役割が、年々強まっていると思います。

―EXPOでの経験や知見は、今後カバーが推進する他事業やグローバル展開にどのように活かされていくと考えていますか?

今後も、場所や環境の制約を超えて、世界中のどこにいてもタレントとファンが触れ合える体験を届けていきたいと考えています。技術が進化するほどイベントの見え方や体験の幅も変わっていきますし、まだまだ大きな可能性があると感じています。

配信というオンラインのフィールドと、EXPOのようなオフラインのフィールド、そのどちらにもタレントが自然に存在できる「地続きの場所」として繋いでいきたいと考えています。単発のイベントとして終わらせるのではなく、日常の中にタレントを感じられるインフラのような存在にまで高めていきたい。点として存在するイベントを線にして繋げることで、リアルイベントへの理解もさらに深まっていくと信じています。

―今年のEXPOにも海外からも多くのファンが訪れていましたね。海外でもEXPOを開催してほしいという声があると聞いています。今後のグローバル展開についてはどのようにお考えですか?

海外のファンミーティングは国内よりも規模が大きかったりすることもあって、海外におけるホロライブプロダクションへの熱量は非常に高いと感じています。ただ、国内で培ったノウハウをそのまま展開するのではなく、それぞれの国・地域の文化や、各地のファンの皆様に寄り添った形を模索することが大切だと思っています。いつか世界中の皆様と、この熱狂を分かち合える「グローバルなEXPO」を実現させたいというのは私たちの大きな目標の一つです。

―今後の展望をお聞かせください。

年々規模が大きくなっていますが、その規模感をいかにホロライブプロダクションのファン一人ひとりの体験として届けていけるかが、毎年共通するひとつのテーマです。今後も体験できる人数をさらに増やしながら、タレントとの接点もより深いものにしていきたいと考えています。

今回のEXPOを通じて、ファンの皆様に届けたいものの輪郭が、より鮮明になったと感じています。今年うまくいったことは来年も継続していきながら、今年見えてきた課題に対しては、企画としても技術的な進化も取り入れながらチャレンジしていきたいです。

ー準備から当日まで、タレントとの対話を重ねながら積み上げてきた1年半の歩みを、お二人の言葉から感じることができました。カバーの歩みはすでに次のEXPOへと向かっています。ありがとうございました。

  • トップ
  • 特集
  • 「VTuberだからこそ、いろんな時空を自由に行き来できる」テーマの具現化に挑んだ「hololive SUPER EXPO 2026」の舞台裏